私の心の扉を開けると
その真っ暗な部屋の壁一面に
静かに輝きを放つ小瓶が何本もある
小瓶の中では
幼稚園の私が砂遊びをしている...
小学生の私が自転車に乗っている...
輝きをなくしてしまった小瓶も何本かある
目を凝らして中を覗いてみても
闇が広がるのみ
私は
瓶の中身は私の思い出だと気づく
輝く小瓶は楽しい思い出
鈍く光を放つ小瓶は消し去りたい記憶
光を失った小瓶の中身は
思い出せなくなった出来事
認知症になった父の心の部屋で
最後まで輝いていたのはどんな小瓶だろう
小瓶の中で父は何をしていたのだろう
思いを巡らせても
全ては漆黒の闇の中